本体工事費から算出される「坪単価」は、一坪あたりの総費用の70~80%
家づくりの費用=本体工事費と思っていたら大間違い。家づくりにかかる費用は、本体工事費、別途工事費、諸費用の3本から成り立ち、これらの合計が総費用となります。分かりやすくいうと、総費用とは、家づくりの準備段階から、できあがった家に引っ越しをして住み始めるまでに必要な、全ての費用を指しています。
工務店やハウスメーカーのチラシなどには「坪単価」が表示されていて、つい目を奪われがちですが、通常この坪単価は、本体工事費のみを床面積で割った一坪あたりの費用を表したもので、電気やガス、給排水管の引き込みなどの工事費用や、工事の前後に必要な諸費用は含まれていません。このため、坪単価は、一坪あたりの総費用の70~80%程度とみるのが適当とされています。このことを理解して、あとから予想外の出費に慌てる、といったことがないようにしましょう。
なお、本体工事費は基礎工事、木工事、屋根工事、内装工事など、建物本体に関わるものなので想像がつきやすいかと思いますが、その種類を左の表にまとめてありますので、あらためて確認しておきましょう。
状況や好みなど、別途工事費の変動要素を整理しておこう
別途工事とは、家を完成させるうえで建物とは切り離して考える工事のことです。別途工事の中には、電気や水道、ガス、電話などの引き込みといった、住むことができる家を完成させるために不可欠な工事も含まれていますから、「予算が厳しいので別途工事は無しにします」というわけにはいきません。
別途工事費は、総費用の15~20%が目安とされます。畑や田んぼだった場所に家を建てるなど、敷地の状態によっては地盤工事が必要だったり、古い家が建っている場合にはその解体工事が必要だったりします。また、新たに開発された分譲団地の土地では、すでに水道管やガス管の敷地内への引き込み工事が済んでいる場合もあります。このように、状況に応じて発生する工事の数と内容は変動するので、事前の確認が必要です。また、照明器具や冷暖房の工事費用は、本体工事費に含まれるケースと、別途工事費に含まれるケースの両方があるので、工務店やハウスメーカーの見積書にしっかりと目を通しておきましょう。
電気、水道、ガスといったライフラインの引き込み工事、地盤工事、解体工事以外では、いずれも建て主の好みや希望が別途工事費用に大きく反映してきます。資材のランクや設備のグレードなど、次から次にわき出てくる住まいに対する希望を、全て予算内で実現させることは稀なことでしょう。限られた予算の中で、自分達が希望する住まいを最大限実現させるためには、コストに対する自覚を持って別途工事費用を調整することが重要です。まずは外構設備や、照明器具、カーテン、置き家具など、それぞれのカタログや概算見積もりを手に入れて、グレード別の費用の傾向を把握しましょう。そして、どうしても良いものにこだわりたい部分はどこか、実用本位でも構わない部分はどこか、ということを、家本体とのバランスも考えながら整理したうえで、工事の内容を計画していきたいものです。

諸費用は実にさまざま。印紙代、手数料から職人さんのお茶菓子代まで
工事そのものの費用のほかに、家づくりにともなって必要となるさまざまなお金が諸費用です。ふつうは総費用の5~10%程度といわれています。設計料、工事請負契約を結ぶ際の印紙代、登記費用や、ローンを借りる際の融資手数料、引っ越し費用などが主なものですが、細かなところでは、地鎮祭や上棟式での神主さんへのお礼や、現場の職人さんたちに差し入れる茶菓子代、着工時の現場近隣の方たちへのあいさつ費用といった、儀礼的なもの含まれます。もし、今住んでいる家を壊して建て替えるのなら、さらにもう1回分の引っ越し費用と仮住まいの費用が必要で、仮住まい先に家具や荷物などが収納しきれなければ、それらを一時保管してもらうための費用も必要になります。
諸費用の額はケースバイケースですが、ひとつひとつは大きな額にはならなくても、合計すれば100万円単位の出費が予想されるうえ、まとまった金額が現金で必要になることもあるので、早めに試算しておきたいものです。入居後、家具や家電を新調する計画がある場合は、あらかじめ予算を決めておきましょう。