まずは土地をチェックしよう。地盤の状況把握は重要
家づくりのプランニングは、敷地計画と建物の配置を考えることからスタートします。その際、ポイントとなるのが土地のチェック。周囲の環境はもちろん、法規的な面からも調査を行い、建築条件を把握しておきます(→詳しくはP181、P190)。できればパートナーにも現地の状況を見てもらい、様々な立地条件を専門知識で判断してもらうようにしたいものです。
丈夫な家をつくるには、建物を一番下で支える地盤がどうなっているかを知ることが大事です。もし、着工してから後に地盤の問題が見つかると、工期も費用も大幅にアップしてしまう可能性があります。
そこで、新たに土地を買って家を建てる時には、必ず販売業者から「地盤調査書」をもらいましょう。もし調査が行なわれていなければ地盤調査会社に調査を依頼します。建て替えであっても、過去の調査結果がなければ、念のために地盤調査をしておきたいものです。その結果に基づき、必要があれば地盤補強工事の実施や、基礎設計の方法を検討することになります。
建物の配置は日当たりや隣家との位置関係をよく考えよう。敷地境界線からの余裕を持ちたい
土地に続いては、建物をはじめ、庭、駐車場の位置や向きなどを決めていきます。
建物の配置のしかたは、土地の間口(幅)と奥行き、周辺の状況(建物の高さなど)、隣家との間隔などによって決まります。
最も基本的なこととして、窓が隣家の窓に面したり、玄関が向かい合ったりしないように気をつけましょう。また、隣家の窓や換気扇、エアコンの室外機などの位置を把握しておくことも大切です。寝室の真向かいに隣家の換気扇や室外機があったりすると、その音が気になって寝つけないといったことも考えられます。
部屋の日当たりを良くするために、建物の位置は敷地の北側に寄せるのが鉄則です。敷地の南側に背の高い建物がある場合には、日当たりを確保するために家の南側に大きなオープンスペースをつくったり、日当たりを必要とする部屋を2階の南側に配置したりする、といった工夫も必要になります。
建物は敷地境界線から少なくとも1m程度、できれば1・5m近くの余裕を持って配置したいものです。これは、単に隣家から聞こえてくる、さまざまな生活音を軽減する、といった意味合いだけではなく、火災発生時に延焼の可能性を低くする、災害時に避難がしやすくなる、といったメリットがあります。建物周りの電気温水器や給湯器、汚水や雨水の配管などのメンテナンスも容易に行え、外壁の塗り直しなど、将来的なメンテナンスを行う際にも有利です。また、夏場に湿度が高い日本の気候の特性から、床下の木材の腐食やシロアリなどにより建物の寿命を縮める、というケースも起こりがちなので、それを防ぐためにも、ゆとりをもった建物の配置で、風通しをよくしておくことは大事です。
駐車場のスペースは、普通乗用車1台あたり3m×5mの広さが必要です。敷地に接する道路の幅や形状にもよりますが、できるだけ切り返しをせずに駐車できる配置や、車が2台あるのなら、横に並べて駐車できる配置を考えたいものです。
庭は、日当たりなどを考えて南向きに配置したいものですが、玄関を南向きにした場合、アプローチによって分断されることがあるので、東西どちらかに寄せて配置すれば、使い勝手がよくなります。
建物の外観は、外構のつくりとのバランス、街並みとの調和を配慮して考える
次に外構のプランを考えましょう。
まず、前面道路に対して、玄関の位置を正面にするのか、サイドにするのかですが、これはリビングの位置から大体決まってきます。玄関に至るまでのアプローチは、玄関と門の位置をずらすと長くとることができ、ゆとりが生まれます。敷地にゆとりがない場合は、駐車場と一体化させるという方法もあります。
門や門扉、敷地境界線の目隠しをどうするかについても考えましょう。ブロックや鉄など、防犯を重視したものにするのか、植栽で壁をつくるのか、その時の高さはどれ位にするのか、道行く人に楽しんでもらうため、ガーデニングが見えるようにするのか、それとも庭はまったく見えないようにするのか、などといったことです。
これらを考えるとき、忘れてはならないポイントが建物の外観です。外構のつくりとのバランスのほか、周辺の街並みとの調和にも配慮しながら、素材や色調などを決めていきましょう。切妻、片流れ、フラット型など、屋根のデザインも、外観の印象を左右する大きな要素となるので、住宅展示場などでチェックしておきたいところです。
パートナーと相談しながらプランを煮詰めていこう

おおまかなプランの土台ができあがったら、パートナーと相談してみましょう。自分たちでは考えつかなかったことやプランの問題点を指摘してくれるのはもちろん、総合的に判断して最良の方法を提案してくれるはずです。また、建物以外にかかる大体の費用も教えてもらえるでしょう。
自分たちのプランにこだわりすぎず、有効なアドバイスは十分に取り入れ、任せるところはプロに任せる、ということが上手にプランニングする秘訣。考えては相談、また考えては相談を繰り返して、じっくりプランを煮詰めていきましょう。