どんな家を、どう建てたいかで、相性のよいパートナーが決まってくる


家づくりの依頼先は、大きく分けて「ハウスメーカー」、「工務店」、「設計事務所」の3つがあります。
「ハウスメーカー」は、一般に、広範囲な営業網をもつ大手の住宅建築会社です。あらかじめ住宅の工法や素材、サイズなどの基本仕様を決めて行政から認可を受け、その範囲内で規格化・工業化された住宅を施工・販売します。
「工務店」は、複数の専門工事業者をマネジメントし、工事全体を管理することによって、総合的に工事に請け負う会社のことをいいます。古来、家づくり全般の采配を振るっていた「大工の棟梁」が発展した形ともいえます。工法や部材を供給するフランチャイズに加盟している会社もあります。営業網は、通常比較的狭い地域に限定されています。
「建築家」と呼ばれます。施工会社(ハウスメーカー、工務店)とは独立し、設計と工事監理を専門に行います。
「どんな家を、どう建てたいか」によって、自分たちに最適なパートナーはおのずと決まってきます。それぞれの特徴や得意分野をしっかり理解しておきましょう。



パートナーごとの仕事の流れ


家が完成するまでの仕事の流れは、左の図のとおり、パートナーによって異なります。それぞれについて、以下のようなポイントを押さえておきましょう。

パートナーを選ぶ


▼ハウスメーカー

設計から施工まで一貫して行う。設計はメーカーの設計者が、施工はメーカーの施工部門、または協力工務店や下請工事会社が行います。メーカーと工事請負契約を結びます。

▼工務店

設計から施工まで一貫して行うのが一般的。協力設計事務所が設計を行う場合もありますが、「工務店で建てる」といえば、工務店に設計と施工の両方を依頼する、という意味になります。工務店と工事請負契約を結びます。

▼建築設計事務所

設計のみを行う。施工は、別途工事請負契約を結んだ工務店が行いますが、一般的に工事の監理は建築設計事務所に委託します。設計事務所と設計業務委託契約、工事監理業務委託契約を結び、さらに施工を行う工務店と工事請負契約を結びます。




ハウスメーカーの特徴

多少制約はあるが、確かな家づくりができる

テレビや雑誌などで宣伝をしているハウスメーカー。知名度の高さや企業規模からくる安心感があります。さらに、ハウスメーカーをパートナーにした場合、得られるメリットとしては、

● 工場生産性が高いので施工にバラツキが少なく、品質が安定した家が建てられ、工期も短期間で済む。

● 規格化によって、一棟一棟の住宅の建築許可を簡略化し、またあらかじめ部材を大量に仕入れ、前加工するなどしてコストダウンを図っている。

● 住宅展示場のモデルハウス見学や、カタログに掲載された多くのモデルプランなどで検討でき、完成形もイメージしやすい。

● 単に家を建ててくれるだけでなく、土地探 し、資金計画からアフターメンテナンスに至るまで、家づくり全般にわたるサポートを幅広く受けられる。

などといったことがあげられます。

しかしながら、

● 設計はメーカーの規格の範囲内で行われ、メーカーの採用する構造や工法で建てることが大前提なので、多少の制約が生じる。

● ある程度規格化された工業製品の組み合わせでつくられるため、外観や屋内空間が均質的になりやすい。

● 変形地や狭い土地には建てにくい、あるいは建てられない場合がある。

などといった点については、デメリットとなることがあるので、確認や注意が必要です。


事前に仕様確認と金額把握をしっかりと

ウスメーカーで建てる家は、「標準仕様」があるので、おおよその価格が事前にわかりやすいことも特徴ですが、プランニングの際は、標準仕様とオプション仕様の内容を確認し、さらにどれくらいの費用が必要になるのかを把握しておきましょう。各ハウスメーカーが採用している工法の特徴や標準仕様の設定内容によっては、複雑なプランや、オプション仕様を選択した場合、金額が大幅にアップしてしまうこともあります。パートナーを選ぶ
また、ハウスメーカーによる家づくりでは、設計、施工、アフターサービスなどの各過程で担当部門が異なったり、協力会社が携わったりすることがありますので、責任者は誰かを事前に確認しておくことも大切です。

さらに、標準仕様に対して設計変更をしたい場合は、「仕組み」を優先した家づくりをするため、いったん決めたことの変更は難しく、手戻りをするとうまく行かないことが多いので、慎重に計画しましょう。

なお、ハウスメーカーによっては自社の規格にとらわれずに「自由設計」の住宅を販売する部署を持って運営していることがありますが、この場合、実質的には次で見る工務店と同じであり、ハウスメーカーの住宅としてのメリットはなくなります。




工務店の特徴

地域密着の親近感。自由度も高い


地元を中心に活動を行っている工務店。昔ながらに「棟梁」が建て主との対応から設計の世話、工事の段取りとすべてを一貫してやってくれるところも多いようです。このほか、工務店の良さとしては、

● 地域に密着して親近感があり、小回りがきく。アフターメンテナンスに関しても、将来にわたって付き合える。

● 基本的には自由設計で、建て主の好みや条 件に合わせて設計できる。また、地域に根ざした設計上の工夫を期待できる。

● 販売経費や営業経費などの経費をカットで きる分、一定以上のレベルを保ちながらコストを抑えられる。

● 昔ながらの職人が良質な建材を使用して家をつくるなど、「施工力」にこだわる工務店が多い。

などといったことがあげられます。反面、

● 監理をする側、される側が同じであるため、チェック体制が甘くなることがある。

● フランチャイズに加入していたり、特定工法・設備を前面に押し出したりしている工務店は、ハウスメーカーと同様に、仕様のレベルで設計の制約を受けることがある。

● 主業務はあくまでも設計ではなく施工であるため、使い慣れた建材や施工の効率や、自社が安く仕入れられる素材にこだわる傾向もある。

● 基準寸法に尺貫法が多いなど、保守的な傾向があるので、新しい技術への対応を苦手とする場合がある。

などといった点も見受けられます。


地元での評判を確かめよう。木の家づくりならぜひパートナー候補に入れたい

地域密着型の工務店は、地元の評判によって支えられている側面が強く、その地域で長年営業し、実績のある工務店ならば、ひとまず信頼できるといえます。

そこで、工務店への依頼を検討する場合は、工務店の会社案内などを見て業務経歴を確認したり、近所や建てた人の評判などを聞いたりしてみましょう。そして、気に入った工務店があれば、実際に工務店を訪ねてみます。「一生のお付き合い」をしたくなるかどうか、社内の雰囲気や、経営者の人となりなどをしっかり見極めたいものです。パートナーを選ぶ

また、工務店には木造軸組(在来)工法を得意とする会社が多いので、伝統的な和風の住まいを希望するのであれば、工務店はぜひパートナー候補に含めたいところです。

工務店に家づくりを依頼することになった場合は、住宅保証機構の「住宅完成保証制度」に加盟している工務店かどうかも確認しておきましょう。これは工事途中で工務店が倒産した場合に代替業者が引き継いで家を完成させ、建て主の損失を防ぐための制度です。この制度に加盟している工務店なら、万が一の場合も安心です。




建築設計事務所の特徴

オンリーワンの家づくりが実現できる


設計提案力に優れる建築設計事務所。細かく配慮のあるデザインが魅力で、独自の住まいづくりにこだわりたい場合に力を発揮してくれます。建築設計事務所ならではの長所としては、

● 施主の好み、潜在ニーズを引き出す能力が高く、敷地条件、街並みに応じた個性的な提案を期待できる。

● 設計と施工が分離しているので、見積もり・契約の内容、工事中の監理に対しての厳しいチェック機能が働く。

● 100%オーダーメイド対応で、部材や設備についても自由な選択が可能 。

● 予算や敷地に制約条件がある場合も、それに応じた柔軟な対応が可能。

などといったことがあげられます。一方、

● ハウスメーカーや工務店では特に必要とならない「設計料」が総工費の10%程度かかる。

● 建材や施工方法にこだわるため、コストが高くつくことがある。

● それぞれの建築設計事務所の個性が強いので、自分たちと相性の合う事務所に出会うまでに時間がかかることがある。

● 施工する工務店が見積もりする設計図面ができるまで、正確な工事費が出せない。また、納得できる設計図面に達するまで何度も打ち合わせをするので、着工までの時間がかかる。

などといったことを踏まえておきたいものです。


ゼロからの設計なのでモデルは準備されていないことが一般的

建築設計事務所の技術力にはかなり幅があり、そのデザイン傾向や住宅に対する考え方もさまざまです。建築設計事務所にとっての技術力とは、工務店とは多少異なり、建て主が希望する住宅性能を実現する設計力と工事監理の能力といえます。建築設計事務所の家づくりのカギは、「デザインや考え方の相性」と「設計力・工事監理能力」といえます。特に、設計の意図通りに工事が行われているか監理する能力は、住宅の質を高める上でとても重要です。パートナーを選ぶ

また、ハウスメーカーや工務店では、モデルハウスやモデルプランなどがあって、比較的家の完成形をイメージしやすいのですが、建築設計事務所がそれらを持っているケースはほぼ皆無です。なぜなら、建築設計事務所では、それぞれの家族の要望やライフスタイルに合わせて一軒一軒の家をゼロから設計するため、既存のモデルを持つことにあまり意味がないのです。そのため、建築設計事務所への依頼を検討する場合は、過去の作品写真や資料、模型を見せてもらったり、できれば過去に依頼した建て主に直接話を聞いて確認したりする機会が持てれば、より安心です。




Posted by eしずおかブログスタッフ at 00:14│Comments(0)
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