資金計画は、準備可能な自己資金のメドをつけることからスタート

資金計画の第一歩は、どのくらいの「自己資金」を準備できるのかメドをつけること。つまり、家づくりのために使えるお金を、自分たちがどれだけ持っているのかを知ることからスタートします。
まず、資産状況を確認します。自分たちの持っている預貯金の通帳や明細を全部出し、その残高をリストアップします。株式など価格が変動する証券類は、現時点での価格を把握しましょう。貯蓄目的の保険で、満期保険金や解約返戻金を自己資金として使えるものがあれば、それも加えます。これらの金額を合計すれば、全資産の額がわかります。
次に、この金額のうち、どれだけを家づくりのためにあてられるかを考えます。資産の全額を家の購入に使うことはできません。家族の入院など思いがけない出費増、また収入減にそなえて、生活費の2~3カ月分程度は「予備費」としてとっておく必要があります。また、子どもの進学目的など使う予定が決まっているお金も別にとりわけておきましょう。新居で家具や家電を新調するつもりなら、それも考慮しておきたいものです。
差し引くお金だけではなく、もし親からの贈与など、資金援助が期待できるのであればそれを加えます。
以上の合計額が家を建てるときに準備できる自己資金です。左に示したような「自己資金チェックリスト」をつくれば、確認しやすいでしょう。
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住宅ローン借入額の上限は、一般的に取得価格の8割

準備できる自己資金の額がわかれば、これにプラスして費用の総額をまかなうために必要な、住宅ローンの借入額を検討します。
住宅ローンの借入にあたってまず覚えておきたいのは、借入額の限度は「取得(工事)価格の8割」が目安になるということです。仮に価格が2500万円だとすると、借入額はその8割の2000万円が上限ということになります。多くの金融機関が、融資条件のひとつとしてこの「8割制限」を設けていますが、これは取得価格の全額を融資すると返済負担が重くなるという理由だけではありません。住宅ローンを借りるには建てた家を担保とすることが多く、新築住宅の担保価値は、その価格の8割ぐらいであるのが一般的、ということが背景にあるのです。
なお、住宅の取得にかかる諸費用分は、通常、住宅ローンの対象とならないことが多いので、諸費用分も自己資金に含めて用意する必要があります。
また、土地を取得してから住宅を建てる場合は、土地の売買契約と土地のローン契約、建物の建築請負契約と建物のローン契約が必要になるので、それぞれ手付金や中間金などの現金支払いが発生するため、自己資金は多めに必要となります。
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「返せる額」から「借りていい額」を計算しよう


価格の8割というのはあくまで「借りられる額」の目安で、「返せる額」とイコールではありません。自分の返済能力を超える金額を借りてしまうと、その後の返済で苦しい思いをすることにもなりかねないので注意が必要です。逆に言えば、ローンの借入額は「返せる額」から計算するべきなのです。「返せる額」がわかれば、そこから借入額を逆算できるので、その借入額が価格の8割以内におさまるように予算を立てる、ということになります。
ローンの融資限度額は、金融機関によって違いはありますが、「8割制限」に加え、年収を基準に決められています。税込み年収300万円以上400万円未満なら年間返済額は年収の30%まで、400万円以上700万円未満なら35%まで、700万円以上なら40%までといったケースが多いようです。
この基準にしたがうと、税込み年収が600万円ある場合は年間返済額35%まで、つまり210万円までローンが借りられることになります。これは金利が3・5%の場合、返済期間が25年なら約3490万円(年収の約5・8倍)、30年なら3890万円(年収の約6・5倍)借りられる(いずれも価格の8割以内であることが前提)計算です。ところがこの上限まで借りると、税込年収600万円の手取が510万円だとすると、それに占めるローン返済額は41%にもなります。
家を建てた後は、住宅ローン以外にも固定資産税、火災・地震保険料などの支払いがあります。また、家は一度建ててしまえば終わりではありません。壁の塗り替え、水回りの修理、壁紙の張り替え、畳替えなどといった、維持・管理やリフォームを視野に入れておく必要もあります。これらの費用は一時的な出費としてはまとまった金額になるので、ふだんから積み立てておきたい費用です。そこで、税金と保険料の支払いを年15万円、メンテナンスのために積立てる金額を年24万円(月2万円)とすると、1年間に必要な住宅費(ローン+各種支出+積立)は249万円となり、手取年収に占める割合は49%と、そのほぼ半分を住宅のために使うこととなります。これでは家が建った後、生活していけるかどうか不安になってしまうことでしょう。このように、金融機関が貸してくれる限度額まで借りるのは、将来の生活を考えると大変危険です。「借りられる額」ではなく、「借りていい額」を借りるのが鉄則です。
「借りていい額」を求めるためには、まずは、現実的に毎年「返せる額」を、下の式を使って計算してみましょう。
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毎年返せる額がわかれば、これをもとに「借りていい額」が計算できます。年間返済額100万円あたりの、返済期間と金利別の借入額を左の表に示しましたが、この表で、予定の返済期間と金利が交わる箇所の金額を調べ、それに「返せる額」を100万円で割った数字を掛ければ、「借りていい額」が求められます。たとえば、年間に150万円返せる場合で、30年返済、金利3・5%のローンを利用する予定であれば、「1885万円」に150万円を100万円で割った1・5を掛け、1885万円×1・5=2828万円が「借りていい額」ということになります。
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こうして求めた「借りていい額」と、自己資金との合計が、家づくりにかけられるお金の総額となります。もしその額が自分たちの希望する住まいづくりの費用に足りないのであれば、計画を再検討してかかる費用を抑えるか、さらに貯蓄して自己資金が増えるまで少し待ちたいものです。
なお、ひとつの目安として、「返済額は年収の4分の1」ということも言われていますが、家族構成やライフスタイルによって、日々の支出の仕方は異なりますから、それぞれの家族にとって、「年収の4分の1」の軽重もまた異なってきます。すなわち、この目安は全ての人にとって当てはまるというわけではないので、参考にはしても鵜呑みにしないようにしたいものです。


住宅ローンの内容としくみをチェックしておこう


住宅ローンの借入は高額で、返済期間も長期にわたります。つい、目先の金利でローンを選びたくなりますが、住宅ローンは金利のほか返済条件、借入にかかる費用や手数料などを総合的に考えたうえで、自分たちの状況に最適なものを選ぶことが必要です。
大事な内容を見落としたまま契約してしまい、あとで後悔しないためにも、以下、知っておきたい主な内容を、順を追って確認していきましょう。
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1.借入先と融資内容の特徴
金融自由化・住宅金融公庫廃止で、民間によるローンが主体に

住宅ローンは、大きく民間によるものと公的機関によるものの二つに分けられます。上の表に、借入先とそれぞれの特徴をまとめてあります。
民間の金融機関による住宅ローンでは、条件・利用資格などの制限が比較的緩やかで、また種類や内容が多彩です。
公的機関による住宅ローンでは、それぞれ利用条件や利用資格が細かく定められており、利用できないケースもあるので注意が必要です。
かつては住宅金融公庫(07年3月限りで廃止、4月から住宅金融支援機構が業務を継承)が住宅融資の中心的な役割を担うなど、住宅ローンは公的機関によるものが主流でしたが、金融の自由化の中で、さまざまな業態において種々のローンが販売されるようになったことから、現在の住宅ローンは民間によるものが主流となりました。

【参考】 フラット35とは?

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)と民間金融機関が提携した、民間金融機関の長期固定金利型住宅ローンです。かつての住宅金融公庫の直接融資制度に代わるものとして位置づけられています。
民間金融機関の住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取って証券化する(資産担保証券を発行し、投資家から債券発行代金を受取る)ものです。つまり、民間金融機関の住宅ローンとして申し込みますが、返済開始後は住宅金融支援機構に返済することになります。資金計画を立てる
フラット35の特徴としては、最長35年間の全期間固定金利であること、融資額は最高8000万円までで、購入費用の90%まで借入可能なこと、通常の住宅ローンで必要となる保証料が必要ないこと、返済途中の繰上返済や条件変更の際も手数料は一切かからないことがあげられます。
ローンを提供するのは各民間金融機関なので、融資金利や融資手数料、申込時の提出書類等は金融機関によって異なります。また、住宅金融支援機構では「フラット35」と総称していますが、実際の商品名は取扱金融によって異なります。

2.金利のタイプ
金利タイプごとにある、それぞれのメリットとデメリット

住宅ローンの金利には「全期間固定金利型」、「固定金利期間選択型」、「変動金利型」の、3種類のタイプがあります。

▼全期間固定金利型
「全期間固定金利型」は、返済終了までの全機関の金利が固定であるため、あらかじめ返済期間全体の返済額がわかり、それに応じたライフプランを立てやすくなります。また、金利が変わることがないため、世の中の金融情勢が変化して、現在より高金利の情勢となった場合でも安心です。しかし、現在より金利が低い情勢となった場合には、他に比べて高い金利で返済し続けなければならないという、デメリットが生じる可能性もあります。

▼固定金利期間選択型
「固定金利期間選択型」は、返済期間の中で、一定期間について固定金利となるもので、民間金融機関で広く扱われているタイプです。固定金利の期間のメニュー(1年、2年、3年、5年、10年が一般的)や、その期間中の金利は、金融機関により異なる場合も多く、また、一般的には固定金利期間を長く設定するほど、借入金利が高くなります。固定金利期間終了後は、その時点の金利、または再度選択した固定金利期間の金利が適用され、返済額が変更されます。固定金利期間中は、変動金利や他の固定金利期間への変更は認められません。また、固定金利期間終了後、再度固定金利を希望すると、一般的に手数料が必要です。
このタイプでは、低金利のときに借入すると、将来の金利上昇とともに返済額が増えるということがデメリットとなります。

▼変動金利型
「変動金利型」は返済期間中、金融情勢に応じて金利が常に変動します。主に民間金融機関で取り扱われているタイプで、通常年に2回、金利の見直しが行われます。
金利の見直しが行われても、返済額は5年間そのままです。また、金利見直し後の返済額の増加は通常25%以内です。そのため、金利が上昇すると、毎月の返済額のうち、利息の部分が増え、元金の部分が減ることになるので、借入元金の減り方が遅くなってしまいます。さらに金利が上昇した場合は、利息部分だけで毎月の返済額を上回ってしまい、「未払利息」が発生する、というリスクもあります。この場合、借入元金が全く減らないばかりか、5年後の返済額の見直しの際に、未払利息を加えた金額を返済する必要が出てきます。
一方、金利が低下した場合は、毎月の返済額のうち利息の部分が減り、元金の部分が増えることになるので、借入元金の減りが早くなる、というメリットがあります。
なお、変動する金利に上限を設けたタイプのものもあります。通常の変動金利型に比べ、当初の設定金利は若干高くなるものの、金利のリスクを小さくすることができます。
一般的には、金利が底にあるときや上昇傾向のときは金利が変わらない「全期間固定金利型」が、金利が下がる可能性が大きいときは「変動金利型」が有利だと言われています。最近では、金利が上昇傾向にあるので、このページの参考記事で紹介した「フラット35」など、長期にわたって金利が固定されるものに人気があるようです。また、同じ条件なら、金利や手数料が低いものの方が有利なのはいうまでもありません。
ただし、20年~30年にわたる返済期間の金利動向を正確に予測するのは不可能です。ローンを決めるときは、最新の情報を集め、複数のローンを比較検討し、いろいろと試算をしてもらって、納得できる選択をすることが大切です。

3.ローン利用時の優遇
県産優良木材使用住宅の建築や、耐震診断にもとづく建て替えには、静岡県独自の優遇制度もある

民間金融機関にとって、住宅ローンを利用する人は、20年、30年という長い期間付き合うことになるお客さまです。そのため、住宅ローン利用者向けのキャンペーン金利を適用したり、独自の保険(保証)をつけたり、といった、さまざまな優遇特典を提供しているケースが目立ちます。特徴ある商品としては、三大(七大)疾病になって一定の状態が続­­くと住宅ローンの返済が免除されるもの、普通預金の残高に連動して返済額が減るものなどがあります。さらに、ATMの時間外手数料が無料になる、定期預金の金利が優遇になる、といったものもあります。先にみた金利のタイプに加え、これらの優遇策の中に自分たちにとってメリットがあるものがあれば、利用するローンの検討材料にしてみましょう。資金計画を立てる
なお、静岡県が県内金融機関と協定を締結して実施する住宅ローンの優遇制度として、「しずおか住宅ローン優遇制度」があります。これは、静岡県産の「しずおか優良木材(認証製品)」を住宅全体の45%以上使用した木造住宅を建設・購入する場合(しずおか優良木材型)、および昭和56年5月以前に建設された木造住宅で、耐震診断の結果、評点が1・0未満となったものを除去して建替える場合(TOUKAI‐0型)と、それぞれ静岡県ならではの住まいづくりをする場合に、各金融機関におけるローン基準金利を優遇や、融資手数料を割り引く、という制度です。これらの条件に該当する家を建てる場合は、ぜひ利用したい制度です。
(問い合わせは静岡県都市住宅部住まいづくり室 TEL054-221-3019)
さらに、住宅ローンの優遇制度ではありませんが、静岡県が実施する「しずおか優良木材の家支援制度」も覚えておきたい制度です。これは、一定の条件を満たしながら「しずおか優良木材」を使って家を建てた人に、抽選で建築費として1棟あたり30万円を助成するもので、07年度には、合計160棟が助成の対象となる予定です。
(申し込み、問い合わせ先はしずおか優良木材認証審査会 TEL054-253-0195)

4.ローンの組み合わせ
リスク分散などのために、オリジナルの借入プランづくりが可能

住宅ローンは1カ所からのみでなく、複数の金融機関等からの借入が可能です。先に見たそれぞれの特徴や、金利のタイプにより、いくつかを組み合わせた、自分たちならではの借入プランをつくることができるのです。
かつては、公的ローンを借り入れ、その借入限度額をオーバーする部分を民間ローンで補う、という組み合わせが多くみられましたが、最近では異なる内容のローンを上手に組み合わせることで、将来の金利上昇などのリスクを分散し、ライフプランに応じた返済内容を組み立てる、という目的のためにローンを組み合わせることが多くなっています。
たとえば、全期間固定金利型で住宅ローンを組む場合は、仮に将来、金利がさらに下がった際に、金利下落のメリットを享受することができません。また、変動金利型住宅ローンの場合は、将来、金利が上がった際は、支払利息が増えるというリスクを負います。そこで、全期間固定金利型と変動金利型とを組み合わせることによって、長期間の金利負担と返済額を安定させつつ、部分的には金利下落によるメリットを得られることが可能になります。
また、共働き家庭など、2人以上がそれぞれ住宅ローンを契約し、返済期間などはそれぞれの住宅ローンごとに異なる設定にする、というケースもローンの組み合わせにあたります。妻も住宅ローンを組む場合には、今後の育児休業や退職・転職などといったライフプランや収入の変化に柔軟に対応できるよう、比較的短期間で無理のない住宅ローンを検討するとよいでしょう。現時点では、固定金利型よりも変動金利型の金利負担の方が少ないので、変動金利型で10年程度などの比較的短い住宅ローンを借り、夫のローンと組み合わせることなどが賢明な策の一つです。当然、夫のローンの借入にあたっては、妻のローン完済後の状況を見込んだ検討が必要です。

5.返済方法
返済額が終始同額の「元利均等返済」 元金を早く減らせる「元金均等返済」
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住宅ローンの返済方法には、代表的なものとして「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つの方法があります。民間住宅ローンでは、「元金均等返済」はあまり一般的ではありませんが、フラット35や財形融資ではいずれの返済方法も利用可能です。
最も一般的なのは、金利が一定なら初めから終わりまで返済額が変わらない「元利均等返済」です。安定した返済計画が立てられますが、返済し始めのころは返済額に占める利息の割合が大きく、元金がなかなか減りません。さらに、同じ返済期間であれば、「元金均等返済」よりも総返済額が多くなります。
これに対し、元金を一定額ずつ返していく方法が「元金均等返済」です。返済当初は利息が大きいので返済負担が重くなります。しかし、返済が進むにつれて利息が小さくなって返済額が軽くなり、元金の減り方も「元利均等返済」より早くなります。さらに、同じ返済期間であれば、「元利均等返済」よりも総返済額は少なくなります。もし、新築後の生活で当面大きな出費予定がないなど、余裕があれば検討する価値のある返済方法です。
また、サラリーマンならボーナス払いを併用するケースも多いでしょう。しかし、ボーナスは会社の業績などによって変動するものです。ボーナスの大部分をローンの返済にあてる計画ですと、ボーナスが少なくなったときに返済に困ります。ボーナス払い分の借入額は全体の2分の1まで、という金融機関が多くなっていますが、ボーナス払い分が年収に占める割合は、多くても40%程度までにとどめておきたいものです。

6.返済期間
住宅購入時の年齢もポイント。老後のライフプランも視野に

住宅ローンは、とても大きな金額となるため、長期間をかけて返済をするのが一般的ですが、その期間は自分のライフプランに合わせて決めることが大切です。
まず、返済期間を変えた場合のメリット・デメリットについて考えてみましょう。たとえば、フラット35の場合、ローンの返済期間は最長35年です。しかし、あくまでも「最長35年」ですから、必ずしも返済期間を35年にする必要はありません。自分の支払い可能額、自己資金の状況などを総合的に判断して、返済期間を決めればよいのです。資金計画を立てる
返済期間を短くすると、長くした場合に比べて、借入可能額は少なくなってしまうため、準備しなくてはならない自己資金が増える、もしくは建設予算が少なくなるというデメリットがありますが、反面、総返済額が少なくなるメリットがあります。資金計画に余裕があれば、少しでも返済期間を短くすることを考えてみましょう。
また、住宅を購入する時の年齢も返済期間を決める際の重要なポイントになります。仮に44歳のときに35年返済で住宅ローンを借りると、返済終了は80歳に近い年齢となってしまいます。フラット35や財形融資などでは、80歳の誕生日までが最長の返済期間になっているとはいうものの、年金生活に入っても住宅ローンを返済し続けることには不安を感じる人が多いことでしょう。返済期間を決める際には、老後のライフプランも視野に入れ、退職時の年齢までに完済できるようにするか、退職後も返済が継続する場合は、繰上返済により退職後の返済額を減らすことを考慮した方がよいでしょう。

7.借入時の担保
保証人については、保証会社の利用が一般的

担保とは、融資を受けるときに、万が一、その債務の履行(支払い)が困難になった場合に備え、債権者(融資をした金融機関)があらかじめ弁済の確保のために、債務者(融資を受けた者)に提供させる対象のことです。担保には大きく分けて、「人的担保」と「物的担保」があります。
人的担保とは、債務者本人が返済困難な場合に備えて、あらかじめ特定の第三者、いわゆる「保証人」による返済を確保しておく制度です。保証人になってくれる人を見つけることは難しいため、住宅ローン借入の際は、保証料を支払うことにより、保証会社などが連帯保証人になる制度を利用することが一般的です。なお、「フラット35」など、保証人を必要としないローンもあります。
万が一、債務者がローンを返済できなくなった場合には、金融機関は債務者に返済を求める代わりに、保証会社などに請求し、弁済を受けます。この場合、債務者は金融機関への返済は免れますが、保証会社への返済義務が生じることになります。
「物的担保」とは、債務者が返済困難になった場合でも、債権者が資金を回収できるように、債務者などの不動産等の財産を担保にすることです。住宅ローンを借り入れる際は、主に融資の対象となった住宅やその敷地が担保物となり、抵当権が設定されます。
なお、住宅ローンでは、通常、物的担保が融資額に見合う価値があるかどうかを、地価や建築費などをもとに評価します。この担保評価の方が融資額より低い場合は、融資額が減額される場合もあります。

8.ローン借入に必要な費用
家づくりの諸費用の一部として、忘れずに計上しておこう

家を建てる際、本体工事費、別途工事費のほかに、諸費用も必要であることはすでに見たとおりですが、その諸費用の一部を占めるのが、住宅ローンを利用する際に必要となる費用です。その内容は、下の表のとおりです。必ず支払う費用と支払わなくてもよい場合がある費用があります。

▼印紙代(印紙税)
住宅ローンを借りるときには金銭消費貸借契約書を作成しますが、これらの契約書を作成する場合は、印紙税を必ず納めなければなりません。

▼融資事務手数料
融資を受ける金融機関に支払う事務手続の手数料です。金融機関によって異なりますが、平均的な手数料は3万~5万円程度です。

▼フラット35物件検査手数料
フラット35を利用する場合は、建設する住宅が耐久性などの技術基準に適合するかどうか物件検査を受け、適合していることを証明する適合証明書の交付を受ける必要があります。申請先は、住宅金融支援機構と協定を締結している指定確認検査機関または指定住宅性能評価機関です。新築一戸建ての場合、手数料の目安は2万~3万円です。

▼抵当権設定登記費用(登録免許税)
住宅ローンを借入れ、抵当権設定を登記する際には、「登録免許税」が必要となります。登記を行う際に、登記印紙で法務局(登記所)に納めることとなります。

▼登記手数料
「司法書士報酬」と呼ばれているもので、住宅ローンを利用し、住宅または土地に抵当権を設定する場合、法務局(登記所)への登記申請を司法書士に依頼するときに支払う報酬です。登記の内容や依頼する司法書士によって異なりますが、約2万~6万円程度です。

▼住宅ローン保証料
返済不可能となった場合に備え、連帯保証人の代わりに保証会社に保証を依頼するために支払う費用です。保証料は2000万円借りたときではおおよそ40万円程度。フラット35のように保証人が不要なローンもあります。

▼保証会社事務手数料
保証会社に保証を依頼する場合に支払う事務手数料です。金融機関経由で支払います。平均的な手数料は3万円程度です。

▼団体信用生命保険料
団体信用生命保険に加入すると、万一、返済の途中で加入者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金で住宅ローンの残額が返済されます。フラット35の場合は、加入が融資の条件ではありませんが、民間金融機関のローンは、加入が融資の条件となっている場合が大半です。

▼火災保険料・地震保険料
火災保険については多くの金融機関で加入が義務化されています。地震保険については任意加入とする金融機関が多いようです。
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Posted by eしずおかブログスタッフ at 15:07│Comments(0)
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